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ワサビを育む自然環境を明らかにし、わさび田を後世に残したい!

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SUCCESS
片井祐介
静岡県、農林技術研究所 上席研究員
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Profile

片井祐介

静岡県出身。平成14年静岡県に入庁後、茶業試験場、農業試験場植物保護科、森林・林業研究センターにおいて、主に病害虫防除、鳥獣被害対策などの研究業務に従事。令和元年より、伊豆農業研究センターに勤務し、わさびの育苗及び病害虫対策の研究に従事。
当センターは、現在国内で唯一水わさび研究を行っている公設試験場で、昭和9年に前身となる山葵研究所設立以来、約90年にわたり水わさび栽培が盛んな伊豆市湯ヶ島において研究を行っています。
地方公共機関の研究者として、特定の分野に限らず広範な分野に実学的かつ横断的に携わることで、知識の幅を広げ研究に生かしています。また、研究拠点が研究対象である農業と近い場所に立地することを生かし、地元に還元できる研究活動を行っています。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

私が研究を通して成し遂げたいことは、ワサビを育む自然環境を明らかにし、耕作放棄が進む「わさび田」を農業者と共に残していくことです。

ワサビは日本在来の野菜であり、全国各地の渓谷に自生し、飛鳥時代から利用されています。人の手による栽培は、静岡市の有東木地区において1600年ころから始まり、明治時代には水を流して栽培するわさび田のシステムである「畳石式わさび田」が開発され、主流な栽培方法はほとんど変わらず現在まで続いています。わさび田のある風景は静岡県の農業景観として県民にはなじみが深く、原風景とのひとつなっています。また自然環境を生かした伝統的な栽培方式が評価され、平成29年に日本農業遺産、平成30年には世界農業遺産「静岡水わさびの伝統栽培」として登録されました。

しかし、夏期の高温や水量の低下など、環境の変化が原因と思われる生育の不良により、わさび田の耕作放棄が進んでいます。私はワサビの生育不良の原因を解明しその対策を行い、農業者がわさび田を継続して営農ができるよう支援をしていきたいと思っています。

どのようなアプローチで実現しようとしていますか?

ワサビは高温や霜に弱いため、これらを避けることが必要となります。一方、収穫までに1~2年程度必要であるため、栽培時期の調整だけで避けることは難しく、年間を通して8~18℃(最適水温12~13℃)の養水を大量に使うわさび田を整備することで、安定した栽培が可能となっています。

近年水量の減少や水温の上昇により栽培が困難なわさび田が増えているとされていますが、水環境の変動をアメダスのように継続的に調査した記録は無いため、生育不良の原因が水環境にあるのか、客観的な評価ができていません。

そこで私は、水温や水量の推移を長期にわたり観測していくことで、栽培不良の原因とされている湧水量の低下や水温の上昇が発生しているのか、また水温による生育の違いがどの程度見られるのか調査をしていきます。それにより、生育不良の原因を明らかにし、その対策を講じていきたいと考えています。

今回のプロジェクトで行う研究テーマはなんですか?

今回の研究は、水環境の観測及び水温が生育に与える影響の2点について行っていきます。

まず、水環境の観測として、湧水を利用しているわさび田及び河川水を利用しているわさび田の2か所に定点を定め、水温についてはデータ記録式の温度計で記録し、水量については水の流入口に、水量がわかるように目盛りをつけ、それをタイムラプス動画で連続して撮影していきます。

また、水温が生育にあたえる影響については、同一品種の苗を2か所のわさび田に定植し、その生育過程をタイムラプスで撮影することにより、ワサビの水温による生育の違いを視覚的に示していきたいと考えています。

今回の研究は一年間の短期間に成果が出るものでは無く、継続していくことが一番重要になります。研究担当者が交代し、予算が限られる中でも継続できるよう、簡易で、高額な機械を利用しない方法を検討しています。

Why we need your support

県内のわさび田は、農業遺産のほか、「静岡県棚田等十選」「ふじのくに美しく品格のある邑」にも選ばれ、自然環境や景観の保全、農山村環境の維持に大きな役割を果たしていますが、その社会的意義についてはあまり知られていません。そこで、わさび田の取り巻く環境を広く知ってもらい、その維持に協力していただけるよう、クラウドファンディングにチャレンジします。さらに、研究成果は静岡県のホームページやYouTubeなどにアップしていく予定です。

サポートいただいた資金は、わさび田2カ所の定点に設置するデータロガー式の温度計や長期間屋外でタイムラプス動画を撮影できるカメラの購入などに当てていきます。

今後の展開としては、水環境の悪化が明らかであれば、それに対応した栽培体系や品種の導入を進め、わさび栽培が維持されるよう産地の支援をしていきます。また、撮影した映像を利用した広報活動や教育、啓発活動を行い、ワサビの消費拡大につなげていきたいと考えています。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

Recommender's comment

馬場富二夫
静岡県農林技術研究所伊豆農業研究センター

静岡県の水わさび栽培は、日本固有種であるわさびの植物としての価値、和食文化を象徴する食材としての価値だけでなく、栽培の希少性および特殊性、環境保全及び地域の産業を担っている面からも、後生に残すべき貴重な本県の財産である。水わさび栽培の最大の特徴である水環境の記録は、学術的価値は高いものの、継続的な調査が必要なことから、通常の研究課題での取組が難しいため、調査費用を賛同いただける方の出資で補う本申請は適切であると考える。また、栽培環境の情報発信は、本県わさびの認識を広め、新たなわさびファンを増加させる効果もあると考えられる。

浜部直哉
静岡県農林技術研究所伊豆農業研究センター

本研究により、複数の地点において環境の調査を行うことで産地全域のおおまかな水環境を把握することが可能となり、産地内における優良田、下等田が明確化される。これにより、優良田では贈答用わさび、下等田では小型わさびを、といった園地に最適な栽培が可能になるとともに、再生が可能な耕作放棄園の把握にもつながることから、産地にとって重要な情報となると考えられる。
また、撮影した動画を一般消費者に公開することで、「静岡水わさびの伝統栽培」について広く認知してもらう機会となるだけでなく、苗の状態から収穫までの生育の変化を周年で公開し、かつその収穫物を通信販売するか、提供している販売店や飲食店にリンクを貼って消費者に情報提供することで、生産から消費まで一貫した取組になると考える。

Project timeline

Date Plans
2022年8月 機材の購入
2022年9月 調査開始
2023年2月 成果発表会
2023年3月~ 継続して調査を行い、数ヶ月ごとに県HPを最新状況に更新

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